沖縄の不動産投資は、本土の地方都市と少しルールが違います。
理由は単純で、需要の柱が複数あるから。
- 地元賃貸需要(通勤・学校・医療・商業)
- 観光需要(ホテル・民泊・短期滞在)
- 基地関連需要(米軍人・軍属=いわゆる“米賃/外人住宅”)
- 再開発・跡地利用(中長期の地価押し上げ要因)
そして今、沖縄は「二つのトレンド」が同時に走っています。
- 観光は過去最高水準に近づいている
2025年の入域観光客数(速報値)は 1075万5800人で過去最多を更新、外国客の増加が目立つ流れです。 - 人口は“増え続ける県”から、局地的に減少も出ている
沖縄県は“戦後増え続けた”イメージが強いですが、近年は人口減少に言及する報道もあり、エリア選定がより重要になっています。
つまり、沖縄投資は一言でいうとこうです。
「観光が強い」=どこでも強い、ではない。
「人口が減る」=どこでも危ない、でもない。
市町村単位どころか、同じ市の中でも勝ち負けが分かれます。
1章|人口・観光・地価の“最新の地合い”を押さえる
- 1-1. 観光:2025年は過去最多、需要は“量”より“質”へ
- 1-2. 人口:那覇は“総人口”より「世帯数」「外国人比率」に注目
- 1-3. 地価:路線価は上昇、利回りは圧縮しやすい
- 型A:那覇・都市部の「安定インカム」型
- 型B:中部(北谷・宜野湾など)の「米賃(外人住宅)」型
- 型C:北部の「開発・観光波及」型(名護など)
- 3-1. 那覇(旭橋・久茂地・壺川・おもろまち)
- 3-2. 浦添(西海岸・那覇隣接)
- 3-3. 北谷(米賃・観光・ブランド力)
- 3-4. 北部(名護など):開発波及×賃貸の地力で選別
- 4-1. 表面利回り=ただの入口
- 4-2. “想定”ではなく「保守的CF」で判断するテンプレ
- 5-1. 北谷が強い時の“勝ちパターン”
- 5-2. 北谷が弱い時の“負けパターン”
- 5-3. じゃあ北谷は避けるべき?
- Part2で書く内容(続き)
- おすすめリンク集(公式・一次情報中心)
1-1. 観光:2025年は過去最多、需要は“量”より“質”へ
沖縄県は入域観光客の概況を毎月公表していて、直近分まで追えるのが強みです(2026年1月更新)。
また、2025年は暦年で過去最多(速報)というニュースも出ています。
ここで投資家が見るべきは「人数」だけじゃない。
- 国内客:繁忙期偏重(夏・年末年始・連休)
- 外国客:回復と増加が目立つ(国籍構成で強いエリアが変わる)
- クルーズの再開:離島・港湾周辺に波及
観光は強い。
でも不動産投資に落とすなら「何に効く観光か」を分ける必要があります。
- ホテル投資に効く観光
- 短期賃貸(民泊/貸別荘)に効く観光
- 地元賃貸の賃料を押す観光(働く人が増える)
この三つは別物です。
1-2. 人口:那覇は“総人口”より「世帯数」「外国人比率」に注目
那覇市は公式サイトで人口を出しています。
2025年12月末時点で 総人口312,352人、外国人(9,187人)も明示されています。
投資家目線で重要なのはここ。
- 人口が横ばいでも、世帯数が増えると賃貸需要は強い
- 単身・DINKSが増えると、1LDK/2LDKが強くなる
- 外国人比率が上がると、エリアによっては賃料帯の上振れも起きる
沖縄全体の人口は“増え続ける県”という前提が崩れつつあるので、
今後は 「増えている市町村・地区」×「世帯の増え方」 をセットで見るのが堅いです。
1-3. 地価:路線価は上昇、利回りは圧縮しやすい
沖縄の2025年路線価は 平均+6.3%で11年連続上昇という報道が出ています。
これが意味するのはシンプル。
- 物件価格が上がる
- 賃料が同じなら 表面利回りは下がる
- だから「利回りで勝つ」のではなく、
①空室耐性 ②賃料上昇余地 ③出口(売却) で勝つ
2章|沖縄の不動産投資 “3つの型” どれで勝つ?
沖縄投資は、だいたいこの3ルートに分かれます。
型A:那覇・都市部の「安定インカム」型
- 空室耐性重視
- 駅・幹線・職住近接
- 利回りは薄めでも、崩れにくい
型B:中部(北谷・宜野湾など)の「米賃(外人住宅)」型
- 家賃が高く出やすい
- ただし 軍検・仕様・制度 の壁がある
- “日本人賃貸に戻せるか”が生命線
型C:北部の「開発・観光波及」型(名護など)
- 観光と開発ニュースで期待が乗りやすい
- ただし「賃貸の地力」が弱い場所もある
- 旅館業・民泊は“事業”として管理が必要
3章|エリア別おすすめ:特色・伸びる理由・想定表面利回り
ここからが本番。
“おすすめエリア”は、単に人気ではなく 需要の源泉が強い場所です。
3-1. 那覇(旭橋・久茂地・壺川・おもろまち)
特徴:賃貸需要の母数が最大、出口も作りやすい
那覇の強みは「雇用・交通・病院・学校・商業」が集積していること。
再開発についても那覇市が情報を公開しています。
向く物件
- 1LDK〜2LDK(単身・共働き・転勤層)
- 駅徒歩圏、もしくは主要幹線アクセスが強い場所
- “築古RC”のリノベ前提(沖縄はRCが多く、手を入れる余地が出る)
想定表面利回り(目安レンジ)
掲載物件ベースの目安として、那覇の区分で利回り4%表示や、一棟で6%台表示などが見られます。
- 区分:3.5〜5.0%
- 一棟:5.5〜7.0%
那覇は「利回りは薄いが、崩れにくい」。
いわゆる“地元のS&P500”枠。
3-2. 浦添(西海岸・那覇隣接)
特徴:中長期の“基地跡地×都市拡張”の期待が強い
浦添市は、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)跡地利用に関する部署・情報を公開しています。
ここは那覇新都心にも近く、将来的な都市機能拡張の期待が乗りやすい。
大事なのは、“すぐ儲かる”ではなく、
将来の都市構造が変わる可能性がある場所だという点。
向く物件
- 那覇への通勤利便が高い住宅地
- 幹線道路アクセスが強いエリア
- “将来の賃料上振れ”を狙いつつ、足元は地元賃貸で回す
想定表面利回り(目安)
- 区分:4.0〜5.5%
- 一棟:6.0〜7.5%
(那覇より出やすいが、立地格差が大きい)
3-3. 北谷(米賃・観光・ブランド力)
特徴:高賃料を狙えるが、実は“空室”より“出口”が怖い
質問の核心いきます。
北谷は米軍が借りるから表面利回りが高いが、空室リスクが高い?
結論:**“高い”ことはある。でも空室リスクの本体は「制度・仕様・出口」**です。
米賃(外人住宅)市場は、米軍人・軍属向け賃貸が形成されており、家賃補助(BAH)の存在で高賃料になりやすい、と解説されます。
一方で、軍検取得・維持や方針変更リスクなども明確に指摘されています。
「空室リスク」の正体を分解するとこう
①タイミングリスク
異動・入替の波に乗れないと、埋まりが遅れる。
②仕様リスク(軍検・設備基準)
軍検に通らない/再検査・是正が重いと、
“借りたいのに借りられない物件”になる。
③方針変更リスク
基地外居住の扱い、手当、運用ルールの変更は、個人ではコントロールできない。
④出口リスク(日本人賃貸に戻した時の賃料差)
ここが一番致命傷になりやすい。
“米賃ありき”で買うと、米賃が外れた瞬間にキャッシュフローが崩れます。
想定表面利回り(目安)
北谷の外人住宅で表面7.65%の事例や、米賃貸中マンションで5%台表示など、幅があります。
- 米賃(外人住宅):6.5〜9.0%
- 米賃マンション:4.8〜6.0%
北谷で勝つ条件(超重要)
- “日本人に貸しても成り立つ家賃”を下支えとして置く
- 退去〜入居の空白(2〜4か月想定)でも死なない資金繰り
- 軍検/仕様/修繕の知見(業者・管理会社を握る)
北谷は「利回りが高いから買う」ではなく、
“出口を二段構えにできる人が買う” エリア。
3-4. 北部(名護など):開発波及×賃貸の地力で選別
北部は話題性が出やすい。
たとえばジャングリア関連の交通発表資料が出ています。
一方で、北部投資は「観光の追い風」だけで突っ込むと危ない。
- 観光は強い → でも “通年稼働”とは限らない
- 地元賃貸が弱い → 空室が長引くと痛い
- 旅館業・民泊 → “不動産”ではなく“運営事業”になる
想定表面利回り(目安)
名護で表面6%超・7%台・8%表示など、物件タイプでかなり差が出ます。
- 一棟:6.0〜8.5%(立地・築年で差)
北部は「利回りが出る」のではなく、
管理と立地で“出せる” というエリア。
4章|想定表面利回りの“見方”と、騙されない計算
表面利回りは便利。
でも沖縄では特に“落とし穴”が多い。
4-1. 表面利回り=ただの入口
表面利回り=(年間家賃収入÷購入価格)
ここには以下が入ってません。
- 固定資産税
- 火災保険
- 修繕費
- 管理費
- 空室期間
- 原状回復
- 広告費
- (米賃なら)軍検維持・追加修繕
つまり、同じ表面6%でも
- 那覇の安定6%
- 北谷の米賃6%
はリスクがまったく違う。
4-2. “想定”ではなく「保守的CF」で判断するテンプレ
おすすめの見方はこれ。
- 空室:年5%(米賃は“入替時期”で年10%を見ることも)
- 修繕:家賃の5%積み立て
- 価格上昇:ゼロで計算
- 売却:保守的に“価格横ばい〜下落”で計算
これで回る物件だけが、投資対象になります。
5章|北谷の「空室リスク」最終回答:高い?低い?どう管理する?
結論をもう一段深く。
5-1. 北谷が強い時の“勝ちパターン”
- 海近・基地アクセス良
- 仕様が米軍ニーズに合う
- 管理会社が強い
- 退去のたびに“商品力”が落ちない(修繕が早い)
この状態だと
入替も比較的スムーズで、家賃も伸びやすい。
5-2. 北谷が弱い時の“負けパターン”
- “米賃前提の仕様”で日本人賃貸に戻せない
- 入替タイミングを外して長期空室
- 再検査・是正コストでCFが削られる
- 方針変更で需要構造が変わる
ここにハマると「利回り高いのに苦しい」になります。
5-3. じゃあ北谷は避けるべき?
避ける必要はありません。
ただし “上級者向け” です。
- 出口を二段構え(米賃→日本人賃貸)
- 管理と修繕の体制
- キャッシュの余裕
これがあるなら、北谷は強い武器になり得ます。
ここまでのまとめ(Part1)
- 沖縄は観光が強い(2025年は過去最多の入域観光客数速報)
- 一方で人口は局地的に減少もあり、“市町村・地区の選別”が重要
- 路線価は上昇傾向で、利回りは圧縮されやすい
- エリア別の勝ち筋は
- 那覇=安定インカム
- 浦添=中長期開発テーマ
- 北谷=米賃は高家賃だが出口が命
- 北部=開発波及は“運営力”が前提
Part2で書く内容(続き)
次は「実戦編」に入ります。
- 地域別の“買っていい立地条件”チェックリスト(那覇/浦添/北谷/北部)
- 物件タイプ別(区分/一棟/戸建て/米賃/民泊)の向き不向き
- 具体シミュレーション3本
- 那覇:表面6.5%RC一棟の保守CF
- 北谷:表面7.5%米賃の空室・修繕込みCF
- 名護:表面7.3%物件の需要検証と下支え家賃
- “失敗する人の共通点”と回避策
おすすめリンク集(公式・一次情報中心)
入域観光客概況(沖縄県)
→ https://www.pref.okinawa.jp/shigoto/kankotokusan/1011671/1011816/1003287/1026300.html
令和7年12月 入域観光客数概況(速報PDF)
→ https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/026/300/r7-12gaikyou-sokuhou.pdf
那覇市の人口統計(那覇市)
→ https://www.city.naha.okinawa.jp/admin/toukei/1004537/index.html
旭橋周辺 市街地再開発(那覇市)
→ https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/life/1002061/1002102/1002103.html
牧港補給地区跡地利用(浦添市・跡地未来課)
→ https://www.city.urasoe.lg.jp/soshiki/kowankitiseisakukyoku/atochimiraika/


コメント