沖縄県で進む「那覇〜名護間」の鉄道計画「沖縄鉄軌道」をわかりやすく解説。構想ルート・費用・駅数・課題を整理し、観光や渋滞緩和にどう貢献するのか、最新情報と筆者の見解を紹介。
(※画像はイメージ)
🚆 沖縄鉄軌道とは?

沖縄県が構想している「那覇〜名護間 約70kmの新鉄道路線」。
別名「沖縄縦貫鉄道」とも呼ばれ、
那覇空港エリアから名護市までを約1時間で結ぶことを目指す巨大プロジェクトです。
この計画は、沖縄本島の深刻な交通渋滞を解消するための基幹公共交通として、
2014年に本格的な検討が始まり、2018年にルート案(C派生案)がまとまりました。
🗺 路線ルートと構想エリア
▶ ルート概要
「那覇 → 浦添 → 宜野湾 → 北谷 → 沖縄市 → うるま → 恩納 → 名護」の8市町村を縦断。
- 総延長:約 67〜68km
- 所要時間:約 59分(快速運転時)
- 経路タイプ:中部東海岸~北部西海岸ルート
- 経由エリア:都市部+観光リゾート地を網羅
▶ 路線構造
- 那覇〜うるま:地下区間中心(トンネル主体)
- うるま〜名護:山岳トンネル・高架区間を併用
- 宜野湾〜北谷の一部に高架区間を設置予定
地下・山岳トンネル主体のため、建設難易度・コストともに非常に高い路線です。
🚉 駅配置の方針
- 各市町村に最低1駅を設置
- 市街地では 2〜3kmに1駅
- 郊外では 5〜7kmに1駅
- 快速停車駅は各市町村に1駅程度
- 都市部ではピーク時毎時10本(快速+各停)を運行想定
💴 総事業費と採算性の見通し
| 区分 | 概要 |
|---|---|
| 総事業費 | 約 5,810〜5,930億円(2019年試算) |
| ルート候補 | 国道330号線(内陸)ルート or 国道50号線(海沿い)ルート |
| 費用便益比(B/C) | 0.91〜1.04(観光客1,350万人想定時) |
| 採算見通し | 黒字転換年:未定(採算単独では困難) |
| 要望補助制度 | 全国新幹線整備法に準じた特例補助を国に要請中 |
※B/C=1.0を超えると「社会的に採算が取れる」とされる。
📜 計画の経緯と沿革
| 年 | 主な動き |
|---|---|
| 2012年 | 沖縄県「総合交通体系基本計画」で鉄軌道導入を明記 |
| 2013年 | 国・県合同で導入促進の調査報告書を公表 |
| 2014年 | 沖縄県が「鉄軌道計画検討委員会」を設置 |
| 2018年 | 『構想段階における計画書』発表、ルート案確定 |
| 2019年 | 費用縮減案を公表、B/Cを再計算 |
| 2020年 | 「費用便益分析検証委員会」で採算性を再評価 |
| 2022年 | 国の「沖縄基本方針」に整備新幹線方式の特例制度検討を明記 |
| 現在 | 構想段階(事業化・着工は未定) |
⚠ 主な課題と現状のハードル
① 普天間基地返還の不透明さ
ルートが普天間基地を通るため、返還が実現しなければ工事に着手できません。
② 建設費の高騰
地下トンネル主体であり、実際には1兆円規模に達する可能性があります。
③ 採算性・人口密度の課題
B/Cがギリギリ1を超える想定。利用者が想定を下回れば赤字リスクも。
④ 国の補助制度の整備待ち
整備新幹線に準じた国の補助枠が必要とされ、国の制度設計が遅れています。
🚗 なぜ今、鉄道が必要なのか?
- 那覇〜中部の通勤渋滞が深刻(1日平均60分以上)
- **観光交通(レンタカー過多)**による渋滞悪化
- CO₂削減・公共交通再整備の必要性
- 沖縄の人口は減少傾向だが、観光客は増加傾向(2018年1,000万人→2023年1,300万人超)
つまり、「観光×通勤×環境」を支える新しい軸交通が求められているのです。
🧭 今後の見通し
沖縄県は国と協議を継続中で、
「2030年代に着工」「2040年代の開業」を長期的な目標に置いているとみられます。
実現にはまだ時間がかかりますが、県民の関心と国の支援次第では、
沖縄初の本格鉄道路線が動き出す可能性があります。
🌺 筆者コメント|鉄道が沖縄の観光を変える日
正直、この計画は夢物語ではなく、
“沖縄が次のステージに進むための交通革命”だと思います。
車社会の沖縄で「鉄道」が通れば、
那覇から北部リゾート(恩納・名護)までノンストレスで行ける。
観光もビジネスも一気に広がるでしょう。
とはいえ、普天間問題や予算の壁は高い。
でも、ゆいレールが現実になったように、
「沖縄鉄軌道」もきっと未来を走ると信じたいです。
📌 沖縄鉄軌道データ(2025年時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区間 | 那覇~名護 |
| 距離 | 約67〜68km |
| 想定所要時間 | 約59分 |
| 想定利用者数 | 68,000〜77,000人/日 |
| 総事業費 | 約5,810〜5,930億円 |
| 費用便益比(B/C) | 0.91〜1.04(観光客1,350万人時) |
| 方式 | 普通鉄道 or LRT(専用軌道) |
| 電化方式 | 未定 |
| 単線・複線 | 複線予定 |
| 開業時期 | 未定(構想段階) |
第2章 コスト縮減方策等の調査検討
2.3 各モデルルート等の精査
要旨:沖縄本島の均衡ある発展と将来の移動需要を踏まえ、幹線骨格軸(糸満〜名護)と代替軸(宜野湾〜恩納)、および各支線を設定。那覇〜名護は約60分を目標所要時間とし、地下・高架・トンネルを主体に複数のルート・方式で比較検討した。コスト縮減の観点から導入空間(330号/58号/パイプライン/沖縄道)や構造(地下/高架/地平)を使い分け、災害リスク(津波・土砂・洪水)や道路交通への影響も確認している。
1) 都市交通軸・起終点・経過地の設定
- 幹線骨格軸(糸満〜名護)
経過地:糸満 → 豊見城 → 那覇(旭橋/県庁前・おもろまち)→ 浦添 → 宜野湾(普天間付近)→ 北中城(ライカム)→ 沖縄(胡屋・コザ)→ うるま(市役所・石川)→ 恩納(ムーンビーチ・役場)→ 金武 → 宜野座 → 名護(市役所) - 幹線骨格代替軸(宜野湾〜恩納)
経過地:北谷 → 嘉手納 → 読谷 - 支線軸(代表)
那覇↔那覇空港、名護↔今帰仁・本部(美ら海)、那覇↔南城、那覇↔八重瀬 ほか
図差し込み:図「都市交通軸・起終点・経過地の設定」(p.2-59)
2) 所要時間の設定(性能目標)
- 那覇(旭橋/県庁前)〜名護(名護市役所):約60分
- 注:トラムトレインは市街地併用軌道(地平)前提のため、60分以内の達成は不可(参考扱い)。
3) 駅配置の方針
- 鉄軌道系(地下・高架・専用軌道)
- 中南部:2〜3km間隔
- 北部:各都市の拠点に駅(距離拘束なし)
- 需要拠点(役場・学校・大型商業・P&R・結節点)を重視
- 路面系(LRT/併用軌道)
- 約0.5km間隔(主要交差点中心)
- 国内路面電車の平均停留所間隔は約0.50km
表差し込み:表「駅間距離と表定速度(鉄軌道)」、表「国内路面電車の平均停留所間隔」(p.2-61)
4) ルート候補(過年度の検討ケース)
導入空間は国道330号/国道58号/パイプライン/沖縄自動車道。
中部経由は「うるま市」または「読谷村」、北部経由は「恩納村」または「宜野座村」を設定。
支線は空港接続線・名護〜本部(美ら海)・那覇〜南城/八重瀬・宜野湾〜読谷/嘉手納・うるま〜宜野座/名護 など。
図差し込み:ケース別ルート概要図(p.2-67〜2-76)
5) モデルルート比較(長所・短所・リスク概要)
- 330号系(地下主体+一部高架)
- 既成市街地での地下導入が中心。災害リスクは相対的に低め。
- 地下比率が高くコスト中〜高。
- 58号系(高架主体)
- 既成市街地を高架中心で通過でき、コスト縮減に寄与。
- 一方で最大10m級の津波想定があり、桁高・避難導線等の津波対策が必須。
- パイプライン系(地下主体/普天間は高架)
- 都市部の地下導入で用地影響を抑制。一部土砂災害リスクに留意。
- 沖縄自動車道活用(高架主体)
- 道路敷活用でコスト縮減余地がある。
- ただし工事中・開業後の道路交通影響が大。調整・段取りが鍵。
- 共通事項
- 郊外(うるま〜名護)は高架・山岳トンネルが主体。
- 洪水は軽微傾向だが、土砂・津波は区間により対策要。
表差し込み:表「モデルルートの比較評価(幹線骨格軸・代替軸)」(p.2-64〜2-65)
6) 支線軸のポイント(抜粋)
- 空港接続線(旭橋〜那覇空港:鉄軌道系)
高架導入でコスト縮減。最大5m級津波への対策要。 - 名護〜美ら海(水族館):鉄軌道系
郊外は高架・トンネル中心。土砂・津波対策が前提。 - 那覇〜南城/八重瀬:路面系
幹線道路の車線減少に伴う道路影響が大。 - 宜野湾〜読谷/嘉手納:路面系
交通量が多い58号では混雑悪化リスクが高い。 - うるま〜宜野座/名護:路面系
片側1車線区間が多く自動車との混在。
表差し込み:表「モデルルートの比較評価(支線軸)」(p.2-66〜2-78)
7) 今年度の追加検討(ケース11 ほか)
- ケース11:那覇〜名護(330号・うるま・恩納)をスマート・リニアメトロで比較(県調査の小型鉄道等を代表化)。
- 方式別の概算事業費(R3価格、税抜・建設利息込)目安
- 普通鉄道:約89〜113億円/km(単複線・支線有無で変動)
- スマート・リニアメトロ/小型鉄道:81〜89億円/km
- 高速AGT:86億円/km
- HSST:81億円/km
- トラムトレイン:42〜60億円/km(※60分達成は不可、参考)
表差し込み:表「検討パターン一覧」(p.2-83〜2-84)
図差し込み:図「ルート検討図(中南部/北部)」(p.2-84〜2-85)
8) 現地視察(実状把握)
- 実施日:2023年1月18日(水)・19日(木)
- 対象ルート:
- 幹線骨格軸(ケース2:330号/うるま/恩納)
- 幹線骨格軸(ケース7:58号/うるま/恩納)
- 幹線骨格代替軸(ケース8:58号/読谷/恩納)
- 支線①(名護〜本部)
- 県案(330号・北谷経由)
図差し込み:図「モデルルートと視察ルート」(p.2-88)
編集メモ(掲載時の運用)
- 図・表の位置:本文中の「図差し込み」「表差し込み」指示に従って、該当ページの図表を配置してください。
- 災害対策の一段落を追加すると読者理解が深まります(例:津波対策=桁高・止水・避難動線、土砂=法面補強・覆工、洪水=排水・止水扉)。
- 60分達成の条件(平均駅間・停車パターン・表定速度)を短いコラムで補足すると、技術目標が伝わりやすくなります。
筆者コメント(短評)
地下・高架・山岳トンネルを賢く組み合わせ、330号の安定性と58号のコスト縮減をどう最適化するかが肝。加えて、空港接続の乗継動線と名護〜美ら海の支線を早期に設計へ落とすことで、観光と通勤の両輪を回せる。“60分の那覇〜名護”が実現すれば、沖縄の移動体験は一段跳ねるはずです。
🔗 関連・参考リンク集
- 沖縄県:鉄軌道導入検討ページ → https://www.pref.okinawa.jp/machizukuri/toshi/
- 内閣府:沖縄鉄軌道調査報告書 → https://www8.cao.go.jp/okinawa/
- 鉄道計画データベース「沖縄鉄軌道」 → https://tabiris.com/railproject/archives/okinawa/
- amane-okinawa関連記事:「ゆいレール延伸ルート最新情報」 → https://amane-okinawa.penne.jp/yuirail2025
執筆者:たかゆき|沖縄ライフ&マネーブロガー
沖縄の未来交通を追う。渋滞と観光が交差する島に“鉄道”という新しい風を。


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